農業館の名品-明治の貝細工-
令和2年9月18日(金)~ 令和5年12月27日(水)
農業館は明治24年に「自然の産物がいかに生活に役立つか」をコンセプトに設立された日本で最初の産業博物館で、物産学者の田中芳男により収集された明治期の資料が数多く残されています。現在農業館では、貝ボタンを始めとする貝細工を展示しています。
明治期における貝ボタンは、当時注目された日本の輸出品目の一つです。明治20年頃ドイツの技術指導により製造方法が伝わり、それまで外国から輸入していたボタンを国内で生産出来るようになってからは、主に和歌山や奈良を中心に製造され、洋服の普及という時代背景も手伝い、徐々に生産量を増やし大正期に輸出額はピークを迎えています。
当館で収蔵している貝ボタン資料は明治44年以前のものが中心ですが、収蔵数が十数種類あることからも、収集当時には貝ボタンが産業としてすでに認知されていたことがうかがえます。
また、明治の貝細工として貝を用いた工芸品も併せて展示しています。二枚貝の貝殻をそのまま使用したスプーンや薬入れなど、貝そのものの形を利用した素朴な風合いのものの多いのが特徴です。その形状や種類、大きさ等は実に様々であり、見ていて飽きることがありません。これはそれぞれの工芸品が地元で採取された貝を使い、その特徴に合わせた加工が行われてきたからでしょう。
掌に収まる小さな貝細工達ですが、その中には当時の意匠や技術が沢山詰まっています。ご来館の際には展示を通じて貝細工に込められた思いを感じて頂ければ幸いです。
神宮農業館
大 人 - 500円 ( 団体 300円 )
小中学生 - 100円 ( 団体 無 料 )
※団体20名以上
木曜日(祝日の場合はその翌平日)
午前9時~午後4時30分(最終入館は午後4時まで)