伊勢の神宮では年間1500回を越えるお祭りが行われています。神宮徴古館では、
神宮のお祭りや社殿建築に関する資料、農業館では、自給自足の伝統を守る神饌や農林水産関係の資料を展示。
通常の参拝だけではうかがい知ることのできない神宮の精神文化を体感していただけます。
神宮徴古館は明治42年に日本で最初の私立博物館として創設された伊勢神宮の「歴史と文化の総合博物館」です。神宮をより詳しく知っていただくため、おまつりや歴史・文化に関する資料を中心に展示しています。館内には国の重要文化財11点、歴史・考古・美術工芸品など約13000点を収蔵しています。
神宮農業館は天照大神と豊受大神の御神徳を広め、「自然の産物がいかに役立つか」をテーマとした日本で最初の産業博物館です。皇室から賜った品や伊勢神宮のおまつりで神様にお供えする
日本で最初の産業博物館として設立された農業館は戦災を逃れたことも有り、設立以来の貴重な資料を所蔵しています。皇室御賜下品をはじめ、神宮の祭典御料・農林水産資料など約4300点を収蔵展示しています。
その年に収穫された初穂を神前に供え、皇室・国家の安泰と国民の安寧が祈られる
神宮では自給自足の伝統を守り、神田・
開館当初より「自然の産物がいかに役に立つか」をテーマに資料を収集してきた農業館。特に農業館の創立にあたり、収集から展示までの一切に携わった明治時代の物産学者である田中芳男(1838~1916)の収集した明治時代の産業資料は田中コレクションとして光彩を放っています。
神宮徴古館・農業館は神宮域内の整備事業をおこなった「
こうしてまず農業館が明治24年(1891)外宮前に建てられ、明治38年に倉田山へ移転。明治42年9月29日には徴古館が建設され、 明治44年3月31日に徴古館と農業館の建物と収蔵品一式を神宮に奉納して「神宮徴古館農業館」となり、神苑会は事業目的を完遂して解散しました。 以後、両館は「お伊勢さんの博物館」として親しまれてきましたが、昭和20年の戦災で徴古館の建物と収蔵品の大部分を焼失。 昭和28年の第59回神宮式年遷宮を記念して、外壁はそのままで2階建てに改修され今日に至っています。
徴古館の建物は、赤坂離宮(現在の迎賓館)を手がけた当時の宮廷建築の第一人者・片山東熊の設計です。ルネッサンス様式の重厚で格調ある外観が特徴です。 明治時代の代表的遺構として平成10年に国の登録有形文化財となりました。
農業館の建物は、徴古館と同じ片山東熊の設計による数少ない木造建築であり、平等院の鳳凰堂をイメージした和洋折衷の建築様式を取り入れています。当初は回廊型でしたが美術館の建設により現在の場所に移設するに伴い凹形に改修。農業館も徴古館同様平成10年に国の登録有形文化財となりました。