お知らせ・最新情報

一覧へもどる

徴古館

特別展「最後の公卿勅使-明治天皇御奉納の御太刀公開-」

令和7年8月24日

伊勢神宮には、時の天皇や皇室の方々が天照大御神に奉った刀剣が大切に保管されています。今回の特別展では、慶応4年(1868)6月26日に明治天皇が内大臣・広幡忠礼を勅使として神宮へ発遣し、新たな国家の方針を天照大御神に奉告するとともに、国内外の安穏と平和を祈念して御奉納した御太刀を紹介します。
御太刀は両宮合わせて17振あり、11名の刀工によって新規に調製されました。御太刀の調製にあたった刀工たちは著名ではありませんが、新撰組から製作依頼を受けた経歴を持つ刀工、刀剣理論に基づいて数多の弟子を教育した刀工の息子、日本刀の主要な生産地であり幕末期では稀少な美濃・関の刀工といった顔ぶれです。なお御太刀は本年までに刀剣研磨による保存措置を終え、このたび18年ぶりの全面公開となります。
また神宮の歴史上重要な公卿勅使の発遣についても明らかにします。公卿勅使は国や神宮の大事の際に天皇が発する使者のことです。本件は公卿勅使の最後の発遣であることから、当時の神宮の動向を記録する神宮神主の日記などを展示し、発遣に至った経緯とその歴史的意義を探ります。
幕末から維新初期にかけて、模索をしながら新たな国づくりを目指して政策を打ち出した新政府の人々、動乱渦巻く京都で作刀に身を投じた刀工、悠久の歴史からの大きな転換期を迎えようとする神宮神主など、展示資料から各々のあり様に思いを馳せていただきたいと思います。

『国史絵画』「五箇条の御誓文」塩崎逸陵

一覧へもどる