特集展示「和の饗宴-神宮美術館アーカイブスⅣ-」出品作紹介※陶芸《白瓷面取壺 》
令和4年5月28日
陶芸《
本作は安定感のある柔らかなフォルムと白磁の持つ透明感が特徴的な作品です。わずかに立ち上がった口縁から底面へかけての大胆ながらもシャープな稜線が作品にゆったりとした印象を与え、輪郭に光が当たることで陰影が柔らかく浮かび上がっています。この繊細な形は、
作者は大学時代に受けた授業で初めて白磁と出会い、材料である石粉の白さ、今までに見たことの無い焼き物に衝撃を受け、卒業後は故郷の鳥取県で白磁の研究に取り組むことを決意しました。その後ほぼ独学で試行錯誤を繰り返しながら自らの理想とする白磁を追い求め、日本陶芸展での入選を皮切りに受賞を重ねながら国内外の展覧会にも精力的に参加しています。また製作に辺り作者は素地の白さを生かしつつ釉薬が照りすぎない、障子越しの光で陰影が最も美しく見える質感を目指し、「省いて省いて最後に残る形、その美しさに白磁の魅力がある」と語っています。
朝鮮半島から渡来した技術を用いながらも古より珍重される中国風や李朝風に寄ることのない日本人の感性で作りだした「白磁」であるとの思いを込め、自らの作品に「白瓷」という字を使用しています。