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美術館

「和の饗宴ー神宮美術館アーカイブスⅢー」出品作紹介 漆芸《蒔絵螺鈿筥「初冠雪」》

令和3年12月24日


漆芸《蒔絵螺鈿筥まきえらでんばこ「初冠雪」》 重要無形文化財「蒔絵」保持者 室瀬和美

 青森のナナカマドの木にうっすらと降り積もる初雪の情景を表しております。印象的な赤い実は螺鈿、雪は卵殻で描かれ、金粉を用いた研出蒔絵は葉の一枚一枚を浮かび上がらせているようです。研出蒔絵とは漆で描いた文様が固まらない内に金粉を蒔き、その上から漆を重ねて硬化させていく作者の得意とする技法の一つです。
 作者は創作活動のかたわら、文化財保存活動にも取り組んでおり、三嶋大社蔵国宝《梅蒔絵手箱》模造制作。また金刀比羅宮本殿拝殿格天井《桜樹木地蒔絵》も制作されました。その経験から、古典作品は当時の創作やオリジナリティーの集積であると感じられたそうです。「伝統は守るものではなく、新たに創り上げていくもの」と語っています。
 
 作者は昭和25年東京に生まれ、49年東京藝術大学工芸科漆芸専攻卒業。51年同大学大学院美術研究科漆芸専攻修了。田口善国、そして松田権六に学びました。平成12年第四十七回日本伝統工芸展《蒔絵螺鈿八稜箱「彩光」》で東京都都知事賞。14年第四十九回日本伝統工芸展に《蒔絵螺鈿八稜箱「彩華」》で日本工芸会奨励賞。20年重要無形文化財「蒔絵」保持者認定。紫綬褒章。30年神宮美術館企画運営委員会委員就任。令和3年に旭日小綬章。現在も東京の目白漆學舎にて後進の育成にあたっています。

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