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神宮徴古館 名品紹介 伊藤龍涯 作 「天照大神」

平成31年2月9日



日本神話の主要な場面である「天岩戸開き」。本でも頻繁に掲載され馴染みのあるこの絵は当館の主要な収蔵品の一つである日本画『天照大神(あまてらすおおみかみ)』(作 伊藤龍涯)です。『国史絵画』は昭和8年に皇太子殿下(今上陛下)御誕生を奉祝し、東京府(当時)が当代を代表する画家に作製を依頼したもので『天照大神』から『皇太子殿下御誕生奉祝』に至る歴史の名場面78点が描かれています。
 西欧ではバイブルの主要場面を描いた宗教画は多いですが、日本の宗教画は仏教画が殆どであり、日本神話を描いたものは珍しいといえます。その為、『天照大神』は日本人が描く神とはどの様なものかを知る上でも非常に興味深い作品です。特徴の一つは神々しさ以上に「人間味」が豊かに表現されている点。西欧に於いても教義に則った厳格な宗教画の時代からルネッサンスを経て、人間性豊かな聖人や天使が描かれる様にはなりましたが、表現されるのは多くが欠点の無い、仰ぎ見る聖人です。
 一方この『天照大神』には愛嬌を含んだコミカルとも言える神々の動きが描かれており、絵本の様な親しみ易い「かみさま」が表現されています。
 いつもと違う角度から作品に触れると、そこからまた新しい表情を見ることが出来るものです。『天照大神』は現在、神宮徴古館一階に展示中です。ご覧の際は肩の力を抜いて楽しくご覧下さい。

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