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徴古館

御装束神宝の展示

令和3年8月27日


 神宮徴古館では8月27日から遷宮神宝の展示替を行います。特に装束や調度品に施された「文様」に着目した展示内容となっています。
 正史における遷宮神宝の奉献については『続日本後紀』嘉祥2年(849)9月7日の条が初見です。さらに『日本三代実録』仁和2年(885)9月の条においては神宝が更新されることが明記されています。そして神宝の品目や材質に関する詳細な記載は『皇太神宮儀式帳』や『止由気宮儀式帳』『大神宮式』に見られ、平安期には現在のような調製規定がととのえられていたことを窺い知ることができます。
 それを千有余年にわたって遵守継承して遷宮神宝の調製が果たされてきたことによって使用されているデザインや文様には上古が偲ばれます。
 とりわけ御鏡の背面については主に平安期の「へら押し技法」で作られており繊細な表現と左右非対称でありながら調和のあるデザインが施されています。奈良期の鏡の多くは大量生産が可能な「踏み返し技法」で作られたもので、その背面のデザインが左右対称であるのときわめて対照的です。また御櫛筥側面の図案構成に関しても、隅に唐草文、中央に鳳凰が配置されその両脇に瑞雲が表現されています。鳳凰を取り巻く唐草文は対称的ですが、側面の瑞雲は配置をアンバランスにして奈良時代からのデザインを脱した一つの形態を窺うことができます。自然美を尊ぶ日本人の感性がこの図案構成には込められているのかもしれません。
 ご来館の際には遷宮神宝の数々を通じて古から連綿と受け継がれてきた日本人の優雅なセンスを是非とも感じていただければ幸いです。

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