「和の饗宴ー神宮美術館アーカイブスⅠー」出品作紹介 金工《彫金宝石筥「宇宙の双鶴」》
令和3年4月21日
金工《彫金宝石筥「宇宙の双鶴」(夢を入れる筥)》 文化勲章受章者 帖佐 美行
神宮美術館収蔵作品第1号。本作品が平成2年9月に奉納され、以後開館までに90点が陸続と寄せられました。楕円の筥の蓋には波頭と鶴が二羽彫金され、つまみと耳が蒸気様の形で作られ、足も動物の足を連想させます。副題に「夢を入れる筥」とある様に、文様・形体共に見る者の想像力を刺激します。
作者は大正4年鹿児島県に生まれました。本名・良行。昭和5年小林照雲、15年海野清に師事。17年第五回文展初入選。戦後は日展に出品して、41年第八回日展出品の《夜光双想》で日本藝術院賞受賞。49年日本藝術院会員に就任。53年日本新工芸美術家連盟を結成。62年勲三等旭日中綬章受章、同時に文化功労者となります。平成5年文化勲章受章。
その作風は金属の特性を巧みに生かした彫金技法を用いて、文様・造形共に従来の金属工芸の枠を打ち破る新しい世界を築き上げました。14年逝去。